胃・十二指腸潰瘍
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、消化性潰瘍とも呼ばれる。胃液が自分の胃あるいは十二指腸の粘膜を消化することによって起こる潰瘍だからである。
胃液には胃酸(濃厚な塩酸)とペプシン(蛋白質を分解する酵素)が含まれ、強力な消化作用を持っている。しかし、通常は粘液や血液などによる防御システムが働いているために、それらの消化液が自分の胃を傷つけるようなことはない。ところが、さまざまな原因によってその防御システムが壊れると、胃粘膜や十二指腸粘膜が自分の消化液で消化され、潰瘍が生じる。
その原因とは、細菌(ピロリ菌)、医薬品(消炎鎮痛剤など)、重症疾患(敗血症その他)、脳神経障害、心身のストレスおよび過労などである。また、防御システムが正常でも、消化液が強すぎる場合には、同様にして潰瘍ができる。潰瘍がひどくなると、空腹時や食後にみぞおちや全胸部が痛むといった症状が現れるようになる。症状が消えても、潰瘍は治っていない。治癒期や慢性の潰瘍の多くは無症状である。
胃潰瘍は中年以上の人に多く、十二指腸潰瘍は比較的若い人に多い。欧米では胃潰瘍が少なく十二指腸潰瘍が多いのに対し、日本では昔から胃潰瘍が十二指腸潰瘍の二〜三倍も多かった。しかし、日本でも十二指腸潰瘍が増加の傾向にある。
最近の潰瘍治療薬はよく効く。胃酸の分泌を抑える薬、胃酸を中和する薬、胃粘膜の防御因子を増強させる薬、胃の運動を調整する薬など、いろいろな種類があり、大部分の潰瘍は手術をしなくともこれらの薬を飲むことで治る。ただし、潰瘍は再発しやすい病気なので、気をつけなければならない。痛みが消えたからといって急に薬を止めたりしないで、医者の指示に従うことが必要だ。
潰瘍を防ぐためには、規則正しい生活を送り、喫煙を止め、暴飲暴食を避けるよう心がけたい。胃粘膜を刺激する食品(つまりアルコール、炭酸飲料、カフェイン、香辛料含有物)や、とんかつやステーキなど脂肪分が多く胃に留まる時間が長い食品はなるべく控える。逆に好ましいのが、トースト、半熟卵、牛乳、煮込みうどん、さしみ、豆腐、鶏のささみなど。もちろん、適度な運動やストレス解消のための気分転換も非常に大切である。